
車で避難する?しない? 大雨・洪水時に知っておきたい車の危険
「大雨が降ってきたら、車で避難すれば大丈夫」
そう思っていませんか?
車は、たくさんの荷物を運べたり、歩いて避難することが難しい人も移動できたり、私たちの暮らしに欠かせない存在です。
特に、障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもがいる家庭にとっては、避難時にも車が必要になる場面が少なくありません。
だからこそ知っておきたいのが、「水害時の車には、思っている以上の危険がある」ということ。
今回は、車で避難するかどうかを考えるときに知っておきたいポイントをまとめます。
「車なら安心」とは限らない
2026年8月、千葉県を襲った記録的な大雨では、冠水した道路で動けなくなった車が相次ぎ、道路上に放置された車両は約2700台に上りました。
車内に閉じ込められるなどして、多くの人が亡くなる被害も出ています。(参考:テレ朝NEWS)
普段は何の問題もなく通れる道路でも、大雨によって一気に状況が変わります。
道路が冠水すると、水深が見た目では分かりにくくなります。
「これくらいなら通れそう」
そう思って進んだ先で、想像以上に深くなっていることも。
国土交通省は、水深が車の床面を超えると電気系統などに不具合が生じ、エンジンやモーターが停止するおそれがあると注意喚起しています。
さらに水深がドアの下端に達すると、水圧によってドアが開けにくくなり、ドアの高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなることもあります。(参考:国土交通省)
「冠水してから」では遅い

大雨のときに大切なのは、道路が冠水する前に避難することです。
JAFも、大雨の際は川沿いや海岸沿い、高架下、アンダーパスなど周囲より低い場所には進入せず、水位が上がってからの自動車避難は控えるよう呼びかけています。(参考:JAF)
「避難指示が出たら車で出よう」
ではなく、
「この雨の降り方なら、今のうちに移動しておこう」
と早めに判断することが、車を使う避難では特に重要です。
また、避難先までの道に、川沿いの道路やアンダーパス、低い土地がないかを普段から確認しておくことも大切。
ハザードマップを見ながら、「大雨のときはこの道を通らない」というルールを家族で決めておくと安心です。
もし、車が水没してしまったら?

万が一、車が冠水して動かなくなってしまったら、まずは落ち着いてシートベルトを外します。
ドアや窓が開くなら、できるだけ早く車外へ。
パワーウインドウが動かない、ドアが開かない場合に備えて、車内には緊急脱出用ハンマーを備えておくことも大切です。
ただし、すべての窓ガラスを割れるわけではありません。
フロントガラスなどの「合わせガラス」は、一般的な脱出用ハンマーでも割れないため、自分の車のどの窓から脱出できるのかを事前に確認しておきましょう。(JAF)
そして、ハンマーは「持っている」だけでは意味がありません。
水没した車内では電気系統が使えなくなる可能性もあるため、運転席から手の届く場所など、すぐ使える場所に置いておくことが重要です。
「車で避難しない」という選択も

政府広報でも、水害時は自動車で避難せず、浸水が始まる前に避難することを基本としています。
地形によっては短時間で急激に浸水することもあるためです。(参考:政府インターネットテレビ)
ただ、すべての家庭にとって「車を使わない避難」が簡単なわけではありません。
・子どもを抱えて歩くことが難しい。
・医療機器や薬、衛生用品など荷物が多い。
・きょうだいを連れて移動しなければならない。
・避難先まで距離がある。
そんな家庭もあります。
だからこそ、
「車で避難するか、しないか」を災害が起きてから決めないこと。
自宅の浸水想定や避難先、そこまでの安全なルート、家族の状況を考えて、平時から「我が家の場合はどうする?」を決めておくことが大切です。
キャンピングカーなら安心?

「キャンピングカーなら、災害時もそのまま避難生活ができるから安心」
そう考える人もいるかもしれません。
確かにキャンピングカーは、電源や寝具、調理設備などを備えているものもあり、災害時の選択肢のひとつになります。
でも、キャンピングカーだから水害に強い、というわけではありません。
車高が高くても、水の流れによって車が動かされたり、道路が冠水して走行できなくなったりする危険があります。
また、大きな車体は狭い道路や渋滞した道路で身動きが取りにくくなることも。
キャンピングカーを災害時に活用するなら、「大雨が降ってから移動する」のではなく、早い段階で安全な場所へ移動しておくことが何より大切です。
避難先として使う場合も、その駐車場所自体が浸水想定区域ではないか、トイレや水、電源などを確保できるかを事前に確認しておきましょう。
まとめ

車は、災害時に私たちを助けてくれる大切な道具です。
でも同時に、使い方を間違えると命に関わる危険もあります。
「車があるから大丈夫」ではなく、
「車を使うなら、いつ・どこへ・どの道を通るのか」
そして、
「車を使わないほうがいいのは、どんな状況なのか」
を、雨が降る前に家族で考えておく。
災害時に必要なのは、「その場で正解を探すこと」ではなく、平時に我が家なりの答えを準備しておくことなのかもしれません。


