ホンネ

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2022/08/12 井上つばき

第2章2-8②発達障害発覚までの経緯-2

第2章2-8②発達障害発覚までの経緯-2

椿の「できない」ところは、普通の中学校生活で期待される「できて当たり前」
とされるレベルに達していないということが浮き彫りになっていきました。

ここへきて、初めてのスクールカウンセラーの利用。

はじめは警戒する気持ちもありましたが、困りごとを専門の先生に聴いていただくというはじめての経験に安堵した気持ちもありました。

発達障害発覚までの経緯-2

医ケア児 心臓病 発達障害

3.スクールカウンセラー

2019年11月頃(中学1年生2学期)色々とうまく行かない様子を感じた学校の先生から
スクールカウンセラーを利用するよう勧めがありました。

月に1回の頻度で親子個別で1時間ずつスクールカウンセリングを受けるようになりました。

このときスクールカウンセラーの先生に
「できないように感じるのであれば椿さんができるラインに落としてやり直してみてはどうでしょうか?」
と提案を受けました。

『できて当たり前』という考えをリセットして目線を変え、
小学1年生のころにしていたように1から10まで一緒に確認しながら取り組み、
できるだけ寄り添い、声のかけかたも「なんでやってないの?」から「やってみようか」などと変えていきました。

学校にも共有してもらい、スクールカウンセラーの先生の提案で「できるBOX」「できないBOX」を用意してくださいました。

できたことは「できるBOX」へ入れるという視える化をしながら一緒に頑張れるように進めてくださいました。

ですが、体調と心の変化とともに少しずつ登校を渋る日が増えていきました。

病院では食事療法として、塩分の過剰摂取を控えるために栄養管理士と話をする時間をもらい、
自分の好きな食べ物にどのくらい塩分が含まれているのか一緒に勉強する時間を持てるようにしてくれました。

医ケア児 心臓病 発達障害
2019年のクリスマス
自宅にチャリティーサンタさんが来てお話しをしてくれている様子
医ケア児 心臓病 発達障害
サンタさんとしたお約束

4.病院に相談①

このころから椿とのコミュニケーションがうまく取れないように感じていた私はネットなどで調べ、
何度も同じことを注意してもリセットされる特徴などから「椿はアスペルガー症候群なのでは?」と感じはじめていました。

でも知識が足らず、発達障害の細かいことがわかっていませんでした。

主治医や看護師には水分や塩分管理のことは共有されていたこともあり、
「学校でも家でも困りごとが増えている。発達障害では?」と相談したところ
「これまで病気と闘ってきたためできないことがあるのはしかたのないこと。
気になるようなら『発達検査』を受けてみますか?」という話になり検査を受けることになりました。

1歳くらいから身体の動かし方のリハビリを受けていた経緯もあり、
発達検査は過去に2回、4歳と7歳くらいの時にも受けたことがありました。

このとき2020年1月(中学1年生3学期)新たに受けた検査結果も過去のものと変わらない内容になりました。

凸凹はあるけど普通級で過ごせるレベル、グレーゾーンとされる数値でした。

医ケア児 心臓病 発達障害

5.発達検査の結果

WISC-IVという検査をしました。

【WISC-IV知能検査】

適応年齢:5歳~16歳11ヶ月

WISC-IV知能検査は、10種類の基本下位検査と、5種類の補助下位検査(必要があれば行う検査)の合計15の検査で構成されています。

検査を行うことで、5つの合成得点(全検査IQと4つの指標得点:言語理解指標、知覚推理指標、ワーキングメモリー指標、処理速度指標)を知ることができます。

全般的なIQだけでなく、それらの合成得点から個人内での能力のばらつきがわかりやすいということがWISCの特徴です。

これにより支援が必要な領域を明らかにしたり、強みを把握することができます。

これは、支援計画を立てるときや、日々の生活をサポートする方法を考える際に活用することができます。

子どもの発達状況や、得意不得意を把握する上で便利な手段となりますが、その結果だけで発達障害の診断が確定するわけではありません。

「言語理解」とは言語概念形成、言語推理、環境から得た知識を測定する。

つまり、言語理解は、言語発達の状態、言語能力、結晶性能力を表す指標といえる。

参考:「LITALICO発達ナビ」 WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ
https://h-navi.jp/column/article/725#headline_14197

医ケア児 心臓病 発達障害

結果が平均から平均以下のあいだに位置し、全検査IQの数値が85だった椿は「配慮があれば普通級に通えるレベル」とされるようです。

報告書には検査をしてくれた臨床心理士から、椿の特徴やそれに対する支援方法なども盛り込んで詳しく書いてくれていました。

中学校にもすぐ共有し、報告書のコピーも渡して理解してもらうようにしました。

ただ、この検査では子どもの発達状況や、得意不得意を把握するうえでは意味がありますが、
この結果だけで発達障害の診断がつくわけではありません。

発達障害の診断を受けるためには小児科・児童精神科・小児神経科などの医師の診察を受ける必要があります。

椿は数値が平均内だったこともあり、主治医と話し合った結果「普通級で大丈夫」との見解に至ったため、
私が疑っていた「発達障害では?」という問題について深堀りされることなく終わりました。

【関連記事】

『病気と共に生きる』もくじ

1-1 椿の軌跡 

1-2 椿のカルテ

2-1 心臓病のお話

2-2 椿の病気発覚

2-3 椿の病気解説 

2-4 グレン手術と合併症

2-5 ①フォンタン手術と術前治療

      ②ペースメーカーのおはなし

      ③フォンタン手術後の生活

2-6 ①フォンタン術後症候群

      ②はじめての余命宣告

2-7 ①難治性腹水と腸閉塞と臍ヘルニア手術

      ②病院外で生活するために

      ③「チーム椿」の結成!

2-8 ①発達障害発覚までの経緯-1

      ②発達障害発覚までの経緯-2

      ③発達障害発覚までの経緯-3

      ④発達障害発覚までの経緯-4

      ⑤発達障害と難治性腹水の治療の関係

2-9 ①発達障害とは?

      ②本人へ伝える

      ③発達障害の治療は支援?

      ④取り組んだこと

      ⑤時にはお互い休憩も大事

      ⑥もしわが子が発達障害かもしれないと思ったら…

      ⑦社会的支援について

2-10 ①命のカウントダウン

        ②余命宣告後の過ごし方

2-11 ①最期の14日間-1

        ②最期の14日間-2

        ③椿の生きた最期の1日

        ④椿、旅立ちの日