ホンネ

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2023/03/24 井上つばき

第3章3-3⑤医療との関わり 

第3章3-3⑤医療との関わり 

外来の主治医

主治医は、外来と入院時の病棟での担当が違います。

初めて訪れた救急外来で、椿が心臓病だと診断してくださった先生が、14年間変わることなく椿の外来の主治医でした。

脇先生は、とても優しい先生で、他の心臓病の子の状態が良くない時は、椿のことも心配していつも以上に念入りに診察をしてくださいました。

外来には、最低でも月に1度は通っていました。

調子がよくないときは受診する間隔をみじかく設定したり、主治医の外来日じゃない日でも個別で対応してくれました。

小学3年生から少しずつ症状が現れていたフォンタン術後症候群が明確になった時、それを確信した時の主治医の辛そうな顔を今でも覚えています。

それからは、外来に行くことがほとんどなくなりました。

直接入院することが多くなったからです。

外来で脇先生の診察を受けることがなくなっても、入院中に部屋に会いに来てくれたり、院内の廊下ですれ違ったときも気にかけて声をかけてくれたり、脇先生には最初から最後まで本当にたくさんお世話になりました。

病棟の主治医

入院すると、病棟での主治医がつくようになります。

入院する度に違う先生が担当になることが多かったのですが、小学5年生のころから、フォンタン術後症候群で入院するようになってからの主治医は荻野先生でした。

荻野先生は、説明が丁寧でわかりやすく、患者にも家族にも心から寄り添ってくれる心の優しい先生でした。

椿にとっては初めての女性の先生でしたが、とても信頼していました。

荻野先生は、椿の最後の瞬間に一緒にいてくれました。

荻野先生が産休中の主治医は佐藤先生でした。

佐藤先生は、椿が少しでも快適に過ごせるようにと、勉強熱心に新しいことに取り組んでくださり、急に椿がしんどくなったときや、腹水のドレーンが取れてしまったときなど、もすぐに対応してくださり、休む間もないくらい椿と向き合って最善を尽くしてくださいました。

椿が「病院から出て外で生活する」ということを可能にしてくださったのは、佐藤先生のお陰です。

病棟の担当医

入院中は主治医とは別に担当医も2名ほどつきます。

担当医は定期的に変わるので、たくさんの先生にお世話になりました。

勉強中の先生は若い先生も多く、椿と気さくに関わってくれるのですぐに懐きました。

うれしそうにお話を聞いてもらったり、ゲームに誘ったりしていました。

なかでも、椿は河原先生のことが大好きでした。

河原先生がついてくださっていたのは、毎日これまでに体験したことがないくらいしんどい思いをしていた時期、小学5年生で余命宣告を受けたときの担当医が河原先生でした。

手探りの治療を進めるなかで、椿と毎日しっかりコミュニケーションをとってくれて、少し時間が空いたら話をしに来てくれて、先生とカードゲームをしたり、怖い話を聞いてもらったり、食べものの話をして、椿との信頼関係をしっかり築いてくれました。

椿が治療でしんどいときに、先生が一緒に泣いてくださったことが今でも忘れられません。

佐藤先生も河原先生も今は病院を変わられていますが、「椿ちゃんの病気が治せるように勉強してくるね!」と約束してくれたので、今も目の前の患者さんに真摯に向きあわれていることと思います。

これまで椿に関わってくださった先生は、みなさんいい先生ばかりで、常に「椿ちゃんのために」と真剣に向き合ってくれました。

子どもが治療や病気に対して抱える心の恐怖心にも目を向け、優しく声かけをしてくれる先生ばかりでした。

それが椿にもしっかり伝わっていました。

【関連記事】

『病気と共に生きる』もくじ

1-1 椿の軌跡 

1-2 椿のカルテ

2-1 心臓病のお話

2-2 椿の病気発覚

2-3 椿の病気解説 

2-4 グレン手術と合併症

2-5 ①フォンタン手術と術前治療

      ②ペースメーカーのおはなし

      ③フォンタン手術後の生活

2-6 ①フォンタン術後症候群

      ②はじめての余命宣告

2-7 ①難治性腹水と腸閉塞と臍ヘルニア手術

      ②病院外で生活するために

      ③「チーム椿」の結成!

2-8 ①発達障害発覚までの経緯-1

      ②発達障害発覚までの経緯-2

      ③発達障害発覚までの経緯-3

      ④発達障害発覚までの経緯-4

      ⑤発達障害と難治性腹水の治療の関係

2-9 ①発達障害とは?

      ②本人へ伝える

      ③発達障害の治療は支援?

      ④取り組んだこと

      ⑤時にはお互い休憩も大事

      ⑥もしわが子が発達障害かもしれないと思ったら…

      ⑦社会的支援について

2-10 ①命のカウントダウン

        ②余命宣告後の過ごし方

2-11 ①最期の14日間-1

        ②最期の14日間-2

        ③椿の生きた最期の1日

        ④椿、旅立ちの日

3-1 ①病気と共にある生活とは

  ②病気と共にある生活とは

  ③病気と共にある生活とは

  ④病気と共にある生活とは

  ⑤病気と共にある生活とは

3-2 ①闘病と家族の在り方

  ②闘病と家族の在り方

  ③闘病と家族の在り方

  ④闘病と家族の在り方

3-3 ①医療との関わり

  ②医療との関わり

  ③医療との関わり

  ④医療との関わり

  ⑤医療との関わり

  ⑥医療との関わり

  ⑦医療との関わり

  ⑧医療との関わり

  ⑨医療との関わり

   ⑩医療との関わり

  ⑪医療との関わり

  ⑫医療との関わり

  ⑬医療との関わり

  ⑭医療との関わり

  ⑮医療との関わり

⑯医療との関わり

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